Google広告
Webマーケティング全般
2021.09.17
リスティング広告の効果測定のためにGoogle Analyticsや広告効果測定ツールを活用するケースは多いかと思います。
よく間違えやすいのが、Google Analyticsを設定していれば、自動的にデータが集まると勘違いされるケースがありますが、こちらは間違いです。
リスティング広告のリンク先URLなどにパラメータの付与が必要です。
パラメータを付与していないと、Google Analyticsで各媒体の成果の確認を正確に行うことができず、広告効果の判断が難しくなってしまいます。
ここでは、基本的なパラメータの概念や、生成方法などをご説明できればと思います。
パラメータは情報をサーバーに送るときにURLへ付け加える変数のことを指します。
URLの”?”以降がパラメータにあたります。
Google Analytics上で確認するための一般的なパラメータはUTMパラメータを活用します。
そもそもUTMとは、「Urchin Tracking Module」の略です。
参考:Urchin Tracking Module (UTM)
https://support.google.com/urchin/answer/28307?hl=en&ref_topic=7425
このUrchinはGoogle Analyticsの前進ともいえるサービスです。
UTMの呼び方については、恐らくUrchinの名残が現在も引き継がれている可能性があります。
UTMパラメータは、「Google Analyticsが様々なトラッキングを識別するためのパラメータ」であるという認識をしておくとよいでしょう。
UTMパラメータの付いたURLは、「カスタムURL」と呼ばれることもあります。
URLパラメータの基礎知識
以下はパラメータが無い一般的なURLです。
上記URLにパラメータを付与すると、以下のようなURLとなります。「?」以下がパラメータとなります。
つまりURL末尾の以下の部分がURLパラメータです。
URLパラメータの基本的な作り方
1.「?」(クエスチョンマーク)から始める
URLパラメータは必ず「?」から始めます。
2.「パラメータ名=パラメータ値」の組み合わせを設定
例えば、URLパラメータで「流入元はYahoo!」という情報を付与したい場合は以下ように設定します。
左側にパラメータ名(utm_source)、右側にパラメータ値であるYahoo!(yahoo)を配置し、お互いを=で結ぶことでパラメータとなります。
3.複数のパラメータは「&」(アンパサド)でつなぐ
2つ以上のパラメータを付与したい場合は&でつなぎます。
まず、下記のように複数のパラメータを用意します。
上記は、流入元は「Yahoo!」というパラメータと、キャンペーン名は「YSS」というパラメータです。
こちらを「&」でつなぎます。
以上で完了です。
URLパラメータは世界標準の規格となっているため、独自の解釈をしてしまうと設定ミスが起こります。基礎的なことはしっかりと抑えておきましょう。
パラメータを設定する最大のメリットは、Webサイトへ訪れたユーザーの参照元などの情報をGoogle Analyticsでトラッキングしやすくできる点です。
1.どの媒体から訪れたユーザーなのか把握できる
ユーザーは様々な参照元からアクセスしてきています。
この多種多様なアクセス元は、URLパラメータなしでは把握しづらくなっています。
2.自然検索結果とCPCの区別をつけられる
リスティング広告を出稿している場合、検索結果ページにリスティング広告と自然検索結果が表示されることがあります。
URLパラメータを使わなければ、リスティング広告をクリックしたユーザーなのかそれとも自然検索結果経由なのか判別がつきません。
3.同一ページ内のどのリンクをクリックしたか把握できる
同一URL内に複数のリンク先がある場合は、どのリンク先から訪れたのか通常は把握できません。
例えば、ページの最上部と最下部にリンク先を設置しているなどの場合です。
しかし、URLパラメータを使えば「ページの一番上のリンク先をクリックしての流入」「最下部のリンク先をクリックしての流入」などを把握することが可能になります。
Google Analytics専用のパラメータ(=UTMパラメータ)は全部で5種類あります。
これらのUTMパラメータを付与して広告配信を行えば、様々な媒体を横断して、以下のような情報をGoogle Analytics上に集約させることが可能です。
パラメータ | 意味 | 内容 | Yahoo!広告の場合 |
utm_source | 参照元 | 検索エンジン名やサイト名 (GoogleやYahoo!など) |
utm_source=yahoo |
utm_medium | メディア | 流入元の広告の種類 (有料検索やメルマガなど) |
utm_medium=cpc |
utm_campaign | キャンペーン | キャンペーン名 | utm_campaign=YSS (名前は任意) |
utm_content | 広告 | 広告のコンテンツ | utm_content=text_01 (名前は任意) |
utm_term | キーワード | 流入キーワード | utm_term=kw_01 (名前は任意) |
パラメータの値(例えばutm_source_●●●の「●●●」の部分)は任意の文字列で指定可能です。なお、Google Analyticsの公式ヘルプでは以下の3つのパラメータは必須とされています。
・utm_source
・utm_medium
・utm_campaign
実際のところ、「utm_campaign」の付与がなくても問題なく動作しますが、キャンペーンや広告グループ単位の比較などに有用ですので、基本的にこの3つは最低でも設定しておくのをおすすめします。
それでは、各パラメータの使い方を説明します。
1.utm_source(参照元)※必須項目
参照元とは、自社ページを訪問する前に閲覧していたページのことです。
例えば、以下のように設定します。
参照元 | パラメータ |
Yahoo!広告 | utm_source=yahoo |
Facebook広告 | utm_source=facebook |
検索エンジン名やサイト名などの参照元となる媒体名をセットします。
設定する値は、Google Analytics上で管理・計測をしやすくするために、「自然検索(organic)」のデフォルトの「参照元」と同じ表記となる小文字で統一しましょう。
2.utm_medium(メディア)※必須項目
メディアとは、その名のとおり媒体を意味します。
utm_mediumに関しては、任意の指定ではなく、あらかじめ用意されているデフォルトチャンネルを活用しないと反応しません。
デフォルト チャネルを定義する主な「utm_medium(メディア)」の値は以下になります。
Google Analytics 「デフォルト チャネル」 |
Google Analytics 「メディア」 |
utmパラメータ |
Organic Search | organic | utm_medium=organic |
Paid Search | cpc ppc paidsearch |
utm_medium=cpc utm_medium=ppc utm_medium=paidsearch |
Display | display cpm banner |
utm_medium=display utm_medium=cpm utm_medium=banner |
Other Advertising | cpv cpa cpp content-text |
utm_medium=cpv utm_medium=cpa utm_medium=cpp utm_medium=content-text |
Affiliate | affiliate | utm_medium=affiliate |
Social | social social-network social-mediasm social network social media |
utm_medium=social utm_medium=social-network utm_medium=social-mediasm utm_medium=social network utm_medium=social media |
utm_medium=email | ||
Referral | referral | utm_medium=referral |
Other | ※上記以外の任意の値 | utm_medium={任意の値} |
参考:デフォルト チャネルの定義 – アナリティクス ヘルプ
https://support.google.com/analytics/answer/3297892
上記以外の任意設定は反応しないので、しっかり確認したうえで、設定しましょう。
よく使われるものとしては、以下です。
流入元 | パラメータ |
有料検索 | utm_medium=cpc |
ディスプレイ広告 | utm_medium=display |
アフィリエイト | utm_medium=affiliate |
参照元サイト | utm_medium=referral |
メルマガ | utm_medium=email |
3.utm_campaign(キャンペーン)
キャンペーンを識別することができます。キャンペーンとはリスティング広告のアカウント階層のキャンペーンをつけるのが一般的です。
utm_mediumとは違い、名前の付け方は任意です。
キャンペーン名 | パラメータ |
サマーセール | utm_campaign=summer_sale |
ブランド | utm_campaign=brand |
4.utm_term(キーワード)
検索キーワードをGoogle Analyticsと連動させることができます。
キーワード毎にこのパラメータ付きURLを設定することで計測が可能です。
リスティング広告の流入経路を広告管理画面で設定したキーワードごとに管理・計測したい場合に使用します。
キーワード | パラメータ |
キーワードA | utm_term=kw_01 |
キーワードB | utm_term=kw_02 |
5.utm_content(広告)
どの広告をクリックしたか計測することができます。
Google Analyticsの「広告のコンテンツ」を指定するパラメータです。
広告 | パラメータ |
テキスト広告A | utm_content=text_A |
バナー広告B | utm_content=banner_B |
例)サンプルパラメータ
例として、上記1~5のパラメータを結びつけると以下のようなパラメータができます。
こちらを、Yahoo!広告や、Google広告の「最終ページURL」に設置すれば、設定完了です。
※例)Yahoo!広告URL設置場所
※例)Google広告URL設置場所
上記のような最終リンク(ページ)URLに設置します。
最終リンク(ページ)URLに設置する以外にも、以下方法があります。
・トラッキングURL/トラッキングテンプレート
・最終ページURLのサフィックス
こちらは、効率的に管理するために利用できるURLオプションです。
この件はまた次回ご説明いたします。
Googleアナリティクスが無料提供しているURL生成ツール「Campaign URL Builder」を使うと非常に便利です。
参照:Campaign URL Builder
https://ga-dev-tools.web.app/campaign-url-builder/
utm_source、utm_medium、utm_campaignなどのパラメータを入力すると、自動でURLリンクが生成されるので設定ミスを減らすことができます。
また、日本語などをURLに含める場合はURLエンコードしなければいけません。
変換時に文字コードなどの設定ミスをしてしまうと、Google Analyticsのレポート画面で文字化けしてしまいます。
Google Campaign URL Builderであれば自動的にエンコードしてくれますので、積極的にURL生成ツールを使うようにしましょう。
※上記赤枠の各項目を入力すると、自動的に青枠の部分にパラメータURLが生成されます。
赤枠部分で日本語を入力しても、自動的にエンコードしてくれるので、非常に便利です。
設定方法
設定画面は英語となっていますが、以下表のとおりに入力すれば、迷うことはないかと思います。フォームには以下の情報を入力してください。
フォーム欄 | 必須かどうか | 入力する値 |
Website URL | 必須 | 運営するサイトのURL (例)https://example.com/page |
Campaign Source | 必須 | utm_sourceパラメータ (google,yahooなど) |
Campaign Medium | 不要 | utm_mediumパラメータ (cpc、cpm、email、displayなど) |
Campaign Name | 不要 | utm_campaignパラメータ |
Campaign Term | 不要 | utm_termパラメータ |
Campaign Content | 不要 | utm_contentパラメータ |
Website URLとCampaign Sourceの2つだけが必須となっていますが、Campaign Medium(utm_mediumパラメータ)も非常に重要なので必ず入力するようにしましょう。
いかがでしたでしょうか?
改めてパラメータ生成の注意点を以下にまとめます。
1.リンク先URLの末尾に「?」を付けてからパラメータを連結する
2.パラメータが複数ある場合は「&」記号によって連結させる
3.設定必須のパラメータ以外は省略できる
4.リンク先URLに対して既に別のパラメータが付与されている場合は
「?」記号ではなく「&」記号でパラメータを連結する
5.Campaign URL Builderの活用でミスが防げる可能性があがる
パラメータの使い方や設定方法を把握できていないと、Google Analyticsでデータが不鮮明になってしまい、詳細に解析できなくなってしまいます。
検索結果・リスティング広告・ソーシャルなど多様化するメディアからの流入を正確に測定し、Webマーケティングを加速させるためには、パラメータ設定は必須の設定です。
広告配信の初期設定で必ず活用し、Google Analyticsのデータを正確に計測できるように設定していくようにしましょう。